【競争戦略論(ポジショニング)】コーチが考える3つの戦略
コーチ・個人事業主のための競争戦略論をお読みいただきまして誠にありがとうございます。
前回の記事では、5つの競争要因-ファイブフォース-についてお伝えしてきました。
こちらの記事では5つの競争要因に立ち向かうための、3つの戦略について紹介をしていきます。
Contents
5つの競争要因とは?
顧客とライバル
5つの脅威
3つの戦略
薄利多売-コストリーダーシップ
圧倒的な価格の安さで5つの脅威を真っ向から回避する戦略です。
解りやすい例が、ユニクロやコンビニの缶コーヒーです。大量に製品を生産して、安価で大量販売をしていく戦略。
1点ごとの利益率は低いですが、大量に販売することで、カバーしています。
薄利多売と聴くと、「安売り」をイメージしてしまい嫌がる方もいるようですが、本質は多売できる仕組みにあります。大企業が得意とする戦略ですね。
コーチの中でも、スクール運営、セミナーやワークショップを運営して、コーチングのサービスを提供している人たちは、このコストリーダーシップを取り入れているといえるでしょう。
- サービスの均一化
- コンテンツの開発
- 販売方法の仕組化
個別のコーチングサービスではなく、多くの人が欲しがる必要最低限のサービスをコンテンツにして提供していく方法です。
質よりも量で勝負したい人におススメの戦略です。
付加価値戦略-差別化戦略
薄利多売と対極にあるのが付加価値戦略です。高級ブランドを販売する戦略ですね。
既存のものに圧倒的な付加価値をつけて高く売っていく方法。コーチの中にもホテルのレストランでコーチングサービスを提供する方がいます。そこでのコーヒー一杯の価格は、800~2000円です。缶コーヒーの8倍以上の価格になりますが、ホテルの空間という付加価値があるから顧客は納得します。
コーチングも同じです。あなたが提供するコーチングに何らかの付加価値があり、顧客が価格と見合うだけの価値があると納得させる必要があります。
かつては、コーチングというサービスそのものが希少だったため、価値があるように感じた顧客はたくさんいました。
ですが、最近になり、猫も杓子もコーチングというものだから、その価値自体が暴落してしまいました。コーチングそのものに価値はなくなり、プラスアルファで新たな価値を創造することが求められているのです。
集中戦略
集中戦略とは市場-顧客/ターゲット-を絞ることです。「市場を絞ることはどういうことですか?」と疑問に思うかもしれません。それなので、市場を絞れていないケースを紹介します。
- 「私はビジネスパーソン向けのビジネスコーチです」
- 「人生を豊かにするライフコーチです」
- 「スピリチュアルを取り入れて悩みを解決できるコーチです」
- 「カウンセラーの資格を持っている新しいコーチです」
と名乗るのコーチにお会いしますが、「いったい誰に何を提供したいの?」と疑問に思ってしまいます。
確かにクライアントが多いほうが安心できるのかもしれませんが、これはあくまでサービス提供側の視点です。クライアント視点に立つと、「この人はどんなサービスを提供してくれるんだろう?本当に私に合っているのかな?」と疑問に思い、申し込まないでしょう。
例 | 絞り方 | 例 |
ビジネスコーチ | 対象を絞る | 30代女性のビジネスパーソン向けの仕事とプライベートの両立を支援するコーチングサービス |
ライフコーチ | 内容を絞る | あなたの目標を実現するための手帳コーチング。上手に時間とお金の管理ができるようになります |
スピリチュアルコーチ | ジャンルを絞る | 数秘術を活用したコーチングサービス。生年月日に基いた運命診断と生き方の発見をしましょう |
カウンセリングコーチ | 場所/時間を絞る | ●●駅から徒歩3分。1時間のカウンセリングであなたの悩みを解消します。申込はコチラから |
と、このように絞るポイントを抑えることによって、クライアントはあなたがどんなサービスを提供しているかがわかるため、ビジネスコーチやライブコーチよりも申し込んでくれる可能性が高くなります。
選択と集中
さて、次です。コーチングスクール卒業生の中には、「ターゲットを絞ること=価格を高くできる」と教わっている方も多いのではないでしょうか?
確かに、市場を絞ることで希少性が生まれて、そこから付加価値が生まれて、価格交渉に有利になる。これはその通りです。ですが、この考えにもワナがあります。
市場を絞って高付加価値をつける選択と集中についてみていきましょう。
付加価値集中
コーチングスクールでよく教わる市場を絞って高価格で商品を販売する戦略ですね。また、ビジネス本でも市場は絞って価格を上げろ!と説く人もいます。元ネタはこのマイケルポーターなんですけれどね。
バックエンド商品に多い
ターゲットを絞って以下のコーチングプログラムを販売すると考えてみてください。よく高額のコーチングスクールなどを運営している人がこの販売方法を教えているところが多いです。
- 2時間×6回のコーチングプログラムを40万
- 3時間×10回のコーチングプログラムを60万
- 月1回、半年のコーチングプログラム100万
がよい例だと思います。よくコーチの人がバックエンド商品として販売しているプログラムですね。
キャバクラやホストクラブで最初は焼酎やビールを販売しながら、途中から高級酒やシャンパンを販売する戦略とよく似ています。これが成功すれば高い収益が期待できるので、やらない手はないと思います。
意外と難しいバックエンド戦略
コーチングサービスをしたい人は、そこに高いお金を払っているケースが多いです。
自分が申し込んだのだから、お客さんも申し込むだろう?と思ったら失敗します。
薄利多売集中
市場を絞って価格を下げては売れないのでは?と疑問に思う方もいますが、そんなことはありません。
確かに、一発で圧倒的な売上こそ望めませんが、堅実に申し込みをゲットできる利点もあります。
低価格とはどれくらいか?
どんなに低価格でも自分のサービスを1時間1000円で販売する必要はありません。10,000~20,000円、場合によっては30,000円が妥当です。
少なくとも、1時間のコーチングで5~100万円とっている人からみれば低価格なわけですから。
【2時間×6回/40万】のコーチングプログラムを、【2時間×1回/3万】で提供するくらいの気持ちで構いません。
但し、サービスレベルは一緒にしてください。
低価格商品の効果
- 価格で勝てるため申込を多くもらえる
- サービスレベルが同じなら満足度が高くなる
- 満足してもらえればリピートしてもらえる
- 他のコーチが低価格を嫌がり参入してこないから一人勝ち
などの利点もあります。いちばん大きいのは、安全地帯が築ける点ですね。
一見、地味で目立たなくて誰もやりたくないポジションかもしれませんが、そんな地味なポジションだからこそ、ストレスなく一人勝ちできる可能性を秘めているでしょう。
収益性の限界と工夫
但し、収益性が低いことは何度もお伝えしておきます。正直、高額バックエンド商品を販売して、儲けたいコーチの人にはお勧めしていません。
単年度の売上よりも顧客生涯価値の指標で物事を考えられる人にしかお勧めしていません。
- 単年度の売上:顧客単価×数
- 顧客生涯価値:単価×リピート×年数