【2019年版】コーチングとは何か?定義や意味を徹底解説
どうもこんにちはセルフコーチング協会を運営している木村と申します。学術的なお話や形式的なお話は抜きにして、この記事では、実際のコーチングとはどんなものか?誰にでもわかりやすくコーチングの中身についてお伝えしていきたいと思います。
本記事を読んでほしい人
- これからコーチングについて学びたい人
- プロコーチを雇ったり、コーチングを受けようか検討中の方
- ネットで「コーチ」と名乗っているけれどコーチングがどんなものかよくわかっていない
この記事を読み終わったころには、実際に行われるコーチングがどんなものかがわかっています。では、行きます。
Contents
そもそもコーチングとは何か?
コーチングとは、コーチ(コーチングを行う人)が、クライアント(コーチングを受ける人)に対して、「●●をしたい」というゴールと、「そのために●●をする」を引き出すコミュニケーションツールです。
例えば、こんな悩みはないでしょうか?
今の仕事をやめて、新しい仕事をしたいけれど、具体的に何をやりたいかがわからない
去年、起業するぞ!と決心したけれど、何も準備をしていない。仲間を送り届けるだけの日々・・・
このような方は周りにいないでしょうか?もしくはあなた自身がそうなっていないでしょうか?
もちろん、だからと言って別に落ち込むことはありません。誰だって最初はそんなものです。最初はウサギのように勢いがいい人もいれば、亀のようにゆっくりと動き出す人もいます。そこは人それぞれです。
ただ、今の私たちがどんな状態だろうと、自分自身について考え抜く機会や時間は必要だったりします。そして、私たちには驚くほど自分で何かを考える機会や時間がないのです。この自分自身について考えるを誰かと一緒に行うのがコーチングであり、それを手伝ってくれるのが「コーチ」という存在です。コーチは、クライアントが「何をしたいのか?(ゴール)」と「何をするべきなのか?(手段)」を明確にしてくれる役割を担ってくれます。
コーチングの実例
コーチングの意味
コーチングとは、対話を通じてクライアント(コーチングの対象者)の目標達成や自発性、気づき、視点や考え方を引き出すためのコミュニケーションツールです。
コーチングは、「答えはクライアントがもっている」と考えて、コーチはクライアントが望む答えをクライアントが自ら引き出せるように必要に応じて様々な支援を行っていきます。
詳しくは、後述しますが、コンサルティングのように一方的にこちら側から答えを提供したりはしません。
コーチングの語源
コーチの語源は「馬車」であるといわれています。馬車の役割は、お客様(クライアント)を現在の場所から目的地(クライアントが望む場所)へと送り届けることから派生しています。現在では、教育分野からスポーツの分野など幅広く指導者として用いられるようになりました。一方で、クライアントの目標達成を支援するのであれば、必ずしもクライアントと同じ専門性を持っている必要性すらありません。
インストラクター・トレーナーという意味で「コーチ」という言葉は使われていますが、これは1830年にオックスフォード大学の試験のための家庭教師を指す学生スラングから派生しています。1861年からは、スポーツのトレーナーがコーチと呼ばれるようになりました。
1900年以降スポーツの世界で中心として使用され、1950年代にビジネスマネジメントの世界でもコーチという言葉が使われるようになりました。
コーチングの歴史
近年、企業でコーチングが導入されるようになった背景には、目標達成などで上司が部下をマネジメント・教育する上でコーチングをベースとしたコミュニケーションが有効であると考えられているからです。特に昨今ではグローバル化や競争力強化のため、社員ひとりひとりが自発的に物事を考えて、主体的に行動していくことが求められているからでしょう。
こうした組織改革が必要とされる中で、従来のトップダウン型のマネジメントに限界を覚えて、ボトムアップ型の組織を作るためにコーチングが有効であるといわれています。
日米のコーチングの違い
コーチングは、1990年ごろからアメリカを中心に広まり、2000年ごろから、日本でも経営者やマネージャーの研修にコーチングが用いられるようになりました。特に日本では、2007年時点で様々な分野に広まりを見せて組織の人材開発の手法として発展してきました。
アメリカでは主に個人を対象とするライフコーチやビジネスコーチが主流なのに対して、日本では企業の組織開発のための管理職研修の一環として行われています。それ以前は、誰かを助けたりアドバイスする職業は、「コンサルタント」と自称していました。それがコーチに変わったという経緯があります。
コンサルタントとしての肩書を持つためには、それに応じた専門性が求められ、一定の参入障壁がありました。そのため、特に専門性や技能を持たずとも、誰でも自称することができる「コーチ」という肩書に魅力を感じる人たちが増えた経緯もあります。
コーチングとは?コーチとは?
では、改めてコーチングについてご説明していきます。
ここでは、著書を交えながら、コーチング、カウンセリング、ティーチングの違いなど多面的に考えていきましょう。
コーチの役割
コーチの役割は、クライアントが、クライアントの目標をクライアント自身の力で達成するのを支援するお仕事です。
対人支援職種一覧表 | ||
クライアントから答えを引き出す | カウンセリング | コーチング |
クライアントに必要な答えを与える | ティーチング | コンサルティング |
ティーチングやコンサルティングとの違い
クライアントが必要な答えを与えるのではなく、クライアントが既に持っているリソースを引き出すのがコーチの役割です。
リソースとは、知識や技能、時間など目標を達成するために必要な材料のことです。
ティーチングは知識や技術を提供して、コンサルティングはソリューションを提供する、対してコーチングが提供するのは、クライアントの視点や気づきなどです。
カウンセリングとコーチングの違い
カウンセリングとコーチングの違いについてよく言われていることは、カウンセリングが精神的な問題に焦点を置きマイナスをゼロにするのに対して、コーチングでは目標達成や自己実現などに焦点を置きゼロからプラスを作る役割だと考えられています。
現在のコーチングの手法には、カウンセリングの質問技法を応用したものがたくさんあります。例えばロジャースが提唱した「傾聴・質問・承認」のプロセスもそのひとつでしょう。コーチングでは、カウンセリングの技法をより狭い領域に絞り込み、目的思考の質問をビジネスシーンに応用して作られています。
カウンセリングが治療で、コンサルテーションが解決策の提示であり、ティーチングが知識や技能の伝達であるとするなら、コーチングは、これらのプロセスを経て最後にクライアントが目標達成することを助ける「支援」として考えるのがよいでしょう。
コーチングの特徴
コーチングの主な特徴は以下が挙げられます。
- 目標設定、行動の選択、主導権は全てクライアントにある
- コーチとクライアントは対等な関係である(従属関係はない)
- コーチングはクライアント目標のレベルに応じて定期的かつ継続的に支援を行っていく
- コーチは対話を通じてクライアントが多角的に物事を考えられるように施す
- コーチはクライアントの性格や価値観、考え方を理解し、個別対応の支援をしていく
ティーチング、コンサルティング、カウンセリングなどと比べて、専門性や特別な技能などは必要としませんが、クライアントとの相性や良好なコミュニケーションが取れることが求められてくるのです。
コーチングのメリット
コーチングによって得られるメリットの一例として、以下が挙げられます。
- 誰かから答えを与えられるのではなく、クライアントが自ら課題を見つけて、自ら解決するプロセスを見つけ出すことができる
- ひとつの問題に対して多角的に考える力が向上する
- 目標達成をするための必要な手段を取捨選択しながら、自発的に解決までの道筋を作れるようになる
- コーチがよきペースメーカーとしての役割を果たしてくれるため、目標達成までモチベーション維持できるようになる
コーチは具体的な答えを示してくれるわけではありませんが、クライアントであるあなたが自ら問題を解決してゴールに向かうために何が必要なのかを自ら考える機会を提供してくれます
コーチングのデメリット
一方で、コーチングにもデメリットがあります。
- 目標を達成したり、結果を出すまでに時間がかかる
- トラブル対応などの緊急な問題には適さない
- クライアント側にリソースが足りていない場合は逆効
→この場合はティーチングのほうが有効 - クライアントのモチベーションが低ければ逆効果
コーチングは、あくまでクライアントのモチベーションが高く、必要なリソースを有している場合は有効ですが、そうでない場合は逆効果になりかねません。
コーチングの効果を得られる人
コーチングの対象者として適している場合の例としては以下が挙げられます。
- スキルや経験を積んでいて十分なリソースを有している。一方で、成長実感や目標が十分にもてずモチベーションが低下している
→承認や気づきを与える - 達成したい目標こそあるが、何から手を付けてよいのかがわからない
- ヒントや視点こそほしいが最後の答えは自分で決めたい方。
コーチングスキルを活かしたコミュニケーションをベストタイミングで行うことで、コーチングの効果が発揮されます。
コーチングが役に立たない対象者とは
では、次。コーチングが役に立たない対象者も上げておきます。
- 成長意欲は高いが、遂行する力が著しく欠如している方
- 本質的に誰かから何かを教えてもらいたいと考えている方
コーチは、行動を施すための支援こそしてくれますが、答えは何も教えてくれないと思ったほうがよいでしょう。また、いわゆる指導者のようにクライアントをゴールまで導いてくれる存在ではありません。あくまでよきサポーターなのです。
こう聞くと矛盾するかもしれませんが、コーチングが必要だと感じている方の多くは、既にティーチングやコンサルティングを十分に受けていて、また自分でも行動する意思や力を十分にもっている方が多いです。
コーチングの課題や問題点
コーチングは、よい効果をもたらす可能性がありますが、「人を変える」「組織を変える」などの売り文句が先行した自己啓発に近い面があります。また、コーチには資格や条件もないため、誰でも「自分はコーチだ」と名乗れば、誰でもコーチとして活動できます。
- コーチングのスキル・経験を有していない人がコーチと名乗り、コーチングもどきを行う
- 簡単な訓練を受けただけのただの人がコーチングを行い、余計に相手を混乱させる
- クライアントの心理的問題を見抜けずに、逆に悪化をさせたり、障害を引き起こすケース
このほかにも、コーチングを簡単なコミュニケーションのテクニックと考える風潮があり、「相手の話をよく聞き、相手を褒めて、承認して、ソフトな質問をして、相手が楽しく話させてよいしょすることで満足させる」などの誤解も見られます。
ここにはコーチングが、副業・サイドビジネスやライフチャンス程度にしか考えていない人が多いのも原因でしょう。そのため、コーチング養成講座が増えるが、コーチが育たないとという問題が内在しています。